今回倒れた原因は何なのだろう、と、ずっと考えていた。

確かに仕事は忙しかった。数年ぶりに客先に出たし、週2のミーティング毎にアウトプットを出さねばならず、常に緊張していた。作成する資料やプレゼンもこれまでやったことがない仕事だったので、難しかった。

しかし、実労働時間としては以前にくらべれば短かったし、自分としてもそこまで追い込んで仕事をしているつもりはなかった。リーダーがどちらかというと仕事を「やり過ごす」タイプの人間だったので、積極的に突っ込んだ故に、色々背負わされるのは勘弁という計算もあった。

ただ、相当に現実離れしたスケジュールを求められているにもかかわらず、こちら側にプロジェクトを「担っている」人間が居ないように思えたのが不安だった。リーダーは先に述べたように逃げ腰だし、マネージャーはそのリーダーに「君にまかせたから」的なスタンスで、進捗も成果物にも目が届いていないし。

けれど、私はそんな不安を誰にも訴えることができなかった。今自分が抱えている仕事がこなせるか正直ギリギリだったし、そもそも全体をみる役割は私の仕事じゃないだろうと思っていた。実際の作業に関わる必要最低限なことは伝えていたけれど。そういう意味では、私も「逃げ腰」だったのは変わらない。

そんな状態が2ヶ月続いた後、プロジェクトに人が増えた。全体をみてくれるひとも現れた。ずっと続いていた緊張が、少し緩んだ気がした。相変わらずスケジュールは厳しいけれど、この調子で頑張って積み上げていけば、どうにかなるんじゃないか、そう思った矢先に倒れた。3週間半の職場離脱。

私は自分が思っていたよりもずっと疲れていたようだった。症状がおさまっても、起きられなかった。退院が近づいても、正直心から嬉しくなかった。もうしばらく、この安心な穴蔵に閉じこもっていたいとすら思った。

職場復帰して2週間。リーダーは、「身体の方が大事ですから」と言ってくれ、少しずつ復帰してくださいと言ってくれた。有難かった。

仕事の感覚が戻ってくるにつれ、自分のつくった穴の大きさを日増しに実感させられている。スケジュールを鑑みて、今こんなことやってるのはまずいだろうと思う。さらに、まだ残業は控えているし、色々思わなかった問題も出てきて、進捗も芳しくない。

けれど、このプロジェクトの最中に再び倒れるわけにはいかない。きっと、これが最優先。問題点は早めに明らかにして解決策を検討し、少しずつでも積み上げていくしかない。焦らずに。思い詰めずに。

今回倒れた原因。物理的に疲れが溜まっていたのはあるけれど、自分のなかにある不満や不安やストレスのようなものがうまく発散できず、内に溜め込みすぎていたのが大きかったと思う。

以前の職場では、後輩とお昼を一緒に食べつつ、「女子トーク」「主婦トーク」をしていたのだけど、仕事が込んでくると、これが特に日々の楽しみだったことを思い出した。仕事と直接関係がなくても、しょうもないことでも、話して笑うことが楽しかった。仕事のことは自分からは極力言わないようにしていたけど、「大変そうですね〜」と声をかけてもらうだけでも、嬉しかった。

今の職場はとにかく個人主義が跋扈している。パーティションに区切られているせいもあって、仕事中の私語や与太話みたいなことが全くない。昼食も時間が決まっていないので、皆ひとりで食べる。今までより女性もずっと多いのだけど、1年経っても個人的に話したことがない人すらいる。そんな環境のなかで、私は自分の中に澱を溜め込んでいたのだなと思い当たった。家ではあまり仕事の話をしたくないと思っているので、いよいよ行きどころもなかったわけだ。

そして、これからの解決策。ひとつは、気になることや思うことはこうやって文字にしてみようと思う。時間がなくても、まとめきれなくても。書くことで自分の思いはクリアになるし、決意や考えといったものはより強く刻まれる。

もうひとつは、もう少し人付き合いを大切に、活発にしようと思う。これは直接の解決策ではないかもしれないけれど、近頃思っていたこと。しばらくご無沙汰していた人たちに、連絡を入れてみようと考えている。集まりがあったら、なるべく積極的に出かけていこうと思っている。これまでは、休日は休養第一に考えていたし、実際疲れていて身動きが取れない時期も多かった。けれど、そんな引きこもり方が、さらに色々なものを溜め込む一因なのでは思ったので。

今回のことは、正直かなりショックだった。仕事への責任やら体力やら精神力やら、色々なことへの自信も失った。もう、これまでのやり方は通じないというか、無理があるのだとも思い知った。そして、今までうっちゃってきがちだった自分自身へもう少し目を向けなさい、大事にしなさいというという啓示なのかもしれない。