無くなれば、思い出の、、。

日曜日。

昼間は例によって例の如く寝倒すが(もうすっかり定着してしまい、あきらめモード。ダメ人間も天晴れといったところか)、夜は「劇的!ビフォーアフター」(涙腺刺激番組第2位)を見終わって、寒い時期の定番、銭湯に出かける。

私の行きつけの銭湯は、実にオールドクラシックなところだ。入り口には木製の差し込む鍵つきの下駄箱があり、おばあちゃんが番台に座り脱衣所を見渡し、浴室の壁には富士山が書いてある。けれど、床はいつもつるつるに磨き上げられて落ち着いた光を放ち、なにせ人が数える程しか居ないので、落ち着いて風呂を楽しめる。私の数少ない「憩い」の場所なのだ。

なのだが、、昨日はちょっとショックな出来事があった。浴室に持ち込んだタオルを盗られてしまったのだ。

成り行きはこう。私は乾いたタオルを鏡の上の棚に置いて、髪の毛やら身体やらを洗っていた。で、最後に顔を洗って、タオルで顔を拭こうと思って手を伸ばすと、、無いのである。はて、と思い立ち上がって周りを見渡すも、その壁面には私しか居ないのだから、影もかたちも見当たらない。あれれれ、、とあちこち見てみると、、あ!湯船につかっているおばちゃん、、その頭に巻いているタオルってば、私のじゃない??と思うのだけど、悲しいかなど近眼、湯気で視界はかすみ、そんな気がとてもするのだけど、いまひとつ確信がもてない。白地に柄が入っているもので、どこにでもありそうなものだったのがより一段と。

しかし、たとえ自分のものだったとしても、人が使ってべとべとになったもんを返してもろてもなぁ、、と逡巡していると、おばちゃんはとっとと浴室を出て行ってしまった。いや、実は私も脱衣所に置き忘れたのかもしれないし、、と思いつつ、湯船につかった。今日はアロエ湯とのこと。湯は真っ青だが。

湯船から上がり、あかすりタオルで水気をとって(悲しい、、)ロッカーを開けると、やっぱりそこにタオルはなかった。もちろんおばちゃんはもう居ない。違ってもひとこと言ってみりゃよかったのに、でも逆ギレとかされたら嫌だしなぁ、でもでも、、と意気地ない自分にちょっとブルー。よく思い出せば、あのタオルは田舎から送ってもらった荷物の隙間に挟まってたんだなぁ、と記憶まで呼び起こす始末。

ふう、いろいろと冷たい。